細井美裕 「無いに聞く / Trusted Silence」

会期: 2025年9月5日(金)〜9月29日(月) 10:00 – 17:00
会場: 板室温泉大黒屋
協力: Gallery 38

板室温泉大黒屋では2025年9月5日より9月29日まで、サウンドアーティスト細井美裕の個展「無いに聞く – Trusted Silence -」を開催いたします。細井美裕は東京を拠点に、音の力によって空間や時間の知覚を変容させる可能性を探求してきました。多重録音作品のほか、マルチチャンネル音響を用いたサウンドインスタレーションや舞台作品など、音を通じて空間認識や状況を変化させる幅広い表現を展開し、近年では立体作品の制作にも取り組んでいます。国内外で精力的に活動し、ロンドンのバービカン・センターやフランス国立音響研究所(IRCAM)など世界各地で作品を発表してきました。大黒屋では2022年、毎月26日に開催している「音を楽しむ会」において、一日限りのサウンドインスタレーションを発表していただきました。今回の展覧会は、それ以来初めてとなる本格的な個展です。

本展覧会タイトル「無いに聞く」は英題 “Trusted Silence” に由来し、“沈黙に耳を澄ます”という姿勢を示しています。音が供給されるのをただ待つのではなく、音が鳴る直前の緊張や、鳴っていない状態に潜む気配を信頼し受け入れること。細井はその意識を日常の中で保つための“装置”としてサウンドオブジェクトを制作してきました。素材には鈴や時計、金属板など、誰もが知る日常的なものを用いています。なかでも鈴は、鳴っていなくても音を想起させる世界共通の存在であり、匿名性を保ったまま音に実体と場所を与えることができる特別な素材です。細井は「音が立ち上がる寸前の静寂を聞きたい。鳴るのは今ではないことを受け入れ、それ以上を求めず、頭の中で補完する。それで満足できる人になりたい」と語ります。その探求は単なるサウンドアートの枠を超えて「ないこと」や「聞こえないこと」の価値を表現し、「時間認識という錯覚」への問いかけをも内包しています。作品はオブジェクトとして時間を伴いながら、鑑賞者に実時間とは異なる体験を促します。
本展では、新作《無いに聞く》《時間解放運動》《滝》《渇望》をはじめ、フィリピンでのリサーチをきっかけに制作されたHuman Archive Centerシリーズより《バタアン・テクノロジー・パーク》《大きい山》、さらに細井のサウンドオブジェクト制作の契機となった代表的な作品《Fixation 5》《モモ》など、約20点を展示予定です。
本展は、昨年東京のGallery 38で開催された個展「ステイン」の延長線上に位置づけられます。「ステイン」では都市的な環境音や社会的記録を扱ったサウンドインスタレーションを中心に据えながら、さまざまなサウンドオブジェクトも展開されました。これらの関心をさらにサウンドオブジェクトに特化させ、旅館という滞在の場において、訪れる人々の足音やざわめきと、ふと訪れる静けさが交錯する空間を背景に、「静けさの多様性」を多角的に探る展示構成となります。
また、大黒屋別館「北の館」1階では、福島県大熊町で本年発表された《轍》を特別展示いたします。本館サロンでの展示とは異なり、地域や歴史と響き合う社会的背景を持つ作品として、少し離れた場所に展示しております。大黒屋本館から少し足を延ばすことでご覧いただけます。
細井美裕が紡ぎ出す静けさと時間の世界を、初秋の板室温泉にてぜひご高覧ください。

 

 細井美裕「無いに聞く」プレスリリース


倉庫美術館-菅 木志雄-

菅 木志雄 倉庫美術館

時間 : 10:00から約1時間(要予約)

料金 : 700円

アーティスト菅木志雄の作品のみを常時展示している美術館です。
スタッフが庭の作品などもあわせて毎日案内しています。

現代アートと大黒屋
なぜアートなのか それは アートの持つエネルギーが我々の持つ美意識に働きかけてくれるからです 日常忘れかけている心の美に気づきそれに触れるとき・・・ 我々は本当の自分に出会えるのではないでしょうか 浴衣姿になってアートに触れる・・・ 美術館では味わえない開放感と 一筋の緊張感・・・ そこにこそ 本来の心地よさがあるように思います 板室の自然とアートが調和する空間で心身ともにリフレッシュしていただきたい それが大黒屋の願いです

なぜアートなのか
それは アートの持つエネルギーが我々の持つ美意識に働きかけてくれるからです
日常忘れかけている心の美に気づきそれに触れるとき・・・
我々は本当の自分に出会えるのではないでしょうか
浴衣姿になってアートに触れる・・・ 美術館では味わえない開放感と
一筋の緊張感・・・ そこにこそ 本来の心地よさがあるように思います
板室の自然とアートが調和する空間で心身ともにリフレッシュしていただきたい
それが大黒屋の願いです