季節の刻

すず虫と温泉と月見酒

虫の声がきこえてくる
どこからともなく りんりーん りんりーん
暗すぎる夜 沈黙の夜 月明かりの露天の湯

夏冷えの身体を芯からあたためる温泉

星がまぶしく 月の輪郭がはっきりとみてとれる
初秋の夜空

障子を閉めるのをちょっとだけ待って 月見酒をする
部屋の明かりを消してみる
静寂と 月明かりと ほろ酔いと

時間がながれる ゆったりと ゆったりと ゆったりと

静寂な 大黒屋の夜 虫の声とともに