季節の刻

青木 悠太朗 展 -Quien sabe-

板室温泉大黒屋では、12月1日(火)より12月29日まで、美術家、青木悠太朗さんによる個展「Quien sabe」を開催致します。4年ぶり2回目の個展となります。 青木さんは静岡県出身。東海大学大学院芸術学研究科造型芸術専攻修了後、初応募した大黒屋第10回現代アート公募展にて大賞を受賞をしました。国内の個展、グループ展などに参加し2018年にメキシコを拠点に活動、現在は東京にもどり制作を続けています。 作品としては伝統的な木を使った‘彫刻’となるが、その造形には木の塊の量感を取り除くことで「空間」が解放され、ミニマルで幾何学的にそぎ落とされた形が周辺と関係しあうことで、有と無を同時に感じさせます。 メキシコでの生活、日本との風土の違い、旅の記憶、だれも知らない個人的な体験から作品の造形のきっかけやタイトルがつけられていることなど、本展覧会ではメキシコでの経験が色濃く感じられます。本展覧会は昨年末の帰国後、日本で制作した新作16点を展示致します。ぜひご高覧いただけたら幸いです。

作家ステイトメント

芸術を研究することは常に旅行の可能性を暗示していました。 学生時代に見つけた建築の写真集から、色と幾何学が支配的だった1950年代の近代建築に興味を持ったおかげで、私は2018年にメキシコに到着しました。この間、私は何度も旅行をし、ヨーロッパのいくつかの美術館やメキシコと中央アメリカの遺跡を訪れました。2019年6月末、メキシコの首都から西に遠く離れた植民地時代の風景が広がる寒い町、ミチョカンのパツクアロに行く機会がありました。そこは家屋やほかの建物は、赤、白、茶色の色で統一されており、時間がゆっくりと流れていました。日中、太陽は梅雨の湿った土地を照らし、その表面全体を照らし、物や場所の対照的な影を落としています。対照的に、日本はその湿度の高さから薄暗く、柔らかな調子の弱い光を持っていることを特徴とし、それは私たちの体や建物にほとんど知覚できない影を生成させます。パツクアロでは、両国の風土の違いを強く感じました。しかし屋根瓦や平屋のような家々は、日本のものに似ていて、どこか懐かしさを感じることもありました。夜明けは寒くて霧がかかっており、風はほとんど吹いていません。日が昇ると瞬く間に霧が消え、山の中で太陽が昇ると空が開きます。目まぐるしく変化する気象。そこで生活する人々、伝統、建造物は、その土地の特性を受け止め、共存している姿が美しく感じました。 今回の展示会では、メキシコで過ごした中で経験した出来事、両国の風土の違いから見える光の表現をもとに、それらを組み合わせた作品を制作しました。 その場所と同じ要素を部分的に取り入れることで、作品は環境の中に溶け込み、統合する場を考えました。

青木 悠太朗

 

[略歴] 2013 東海大学大学院芸術学研究科造型芸術専攻 修了 2011 東海大学教養学部芸術学科美術学課程 卒業 1988 静岡県静岡市生まれ

[個展] 2019 「Puerta del cielo 空の扉」 Studio Block M74 (メキシコシティ) 2018 「Madera para cosechar」 CASA EQUIS (メキシコシティ) 2017 「Oasis」 nap gallery (東京) 2016 「青木悠太朗展」 板室温泉大黒屋 (栃木) 2015 「青木悠太朗展」 ギャラリーUDONOS (静岡) 2015 「青木悠太朗展」 ギャラリー現 (東京)

[受賞] 2017 「渋谷芸術祭 2017」 審査員特別賞受賞 (審査員 小山登美夫氏) 2015 「第10回大黒屋現代アート公募展」 大賞受賞