季節の刻
西中 千人 展 −呼継と光−
4月の大黒屋サロン展示は、西中千人展 −呼継と光−を開催致します。
大黒屋での初の個展となる本展では、代表的な呼継の作品を中心に、うつわ、茶道具、そして光を表現する彫刻作品を展示、そして大黒屋玄関前の水琴窟周辺にガラスの庭を展示いたします。
西中さんの作品は日本独自の美意識として生まれた金継ぎ、呼継ぎの技法をガラスに応用し、様々な色彩のガラス片を継ぐ作品を中心に制作しています。「不完全の美」を精神の礎にヒビの美を追求しています。
和歌山県出身の西中さんはアメリカ、カリフォルニア芸術大学にて彫刻とガラスを学び、帰国後、富山市立ガラス造形研究所にて助手を経てニシナカユキト GLASS STUDIO 設立。
その後数々の展覧会に参加し近年では、海外での展覧会も多く、ニューヨークやロンドンでのアートフェアにも積極的に参加し国際的にも高く評価を受けております。
西中さんの世界観がどのように大黒屋の場の空間を演出するのかどうぞお楽しみください。
*4月18日(月)20時からサロンにてアートを語る会(アーティストトーク)を行ないます。
作家在廊予定日:1,18,19,26,27日
展覧会情報はBlogにて更新しております。
器にとって致命的なヒビ割れに美を発見した茶の湯の先達。
影を以って光を表すように
ヒビを以って命の輝きを表現しようとしたのではないだろうか。
致命的な傷さえも魅力ととらえ、新たな美を創り出す『継ぎの美学』。
不完全の美や余白の美を尊ぶ日本の美意識を礎に、独自の表現を探求しています。
常識を疑い、既成概念に捉われず閉塞の壁を叩き壊す。
それが私の「ガラスの呼継」です。
また今回は、玄関前の水琴窟周辺に「ガラスの庭」を作らせていただきます。
水、音という要素に加え、ガラス=光で生命のエネルギーを表したいと思っています。
山に囲まれ、清流のせせらぎが心地よく響く、空に近い大黒屋さんで、
早春の時期に、木々を越えてくる空気の匂いを感じながら、
ゆったり流れる時間の中で「場」の力を充電する。
そして、展覧会をご覧いただく方の感性が、作り手の宇宙観と互いに向き合い、
作品を通じて交流できる一期一会となれば幸いです。
西中千人
略歴
1964 和歌山市生まれ
1983 和歌山県立桐蔭高校卒業
1986 西北大学(中華人民共和国 西安)に留学
1988 星薬科大学 薬学部卒業
1989-90 カガミクリスタル株式会社勤務
1991-94 カリフォルニア芸術大学(California College of the Art)にて彫刻とガラスを学ぶ
1995-97 富山市立ガラス造形研究所 助手
1998 ニシナカユキト GLASS STUDIO 設立 現在に至る