季節の刻
荒木 悠 展「三泊五日 Three Days, Five Nights」
板室温泉大黒屋では、2021 年 4 月 29 日(木)より 5 月 31 日(月)まで、美術家、荒木悠の個展、「三泊五日」を開催いたします。 荒木は世界各地での滞在制作を通して文化の伝播や異文化同士の出会い、その過程で生じる誤解や誤訳から生まれる可能性に強い関心を寄せています。特に近年手掛けている映像インスタレーションでは、歴史上の出来事と空想との狭間にある物語を編み出し、それを創造的に再現するような手法を展開。二つの領域のあいだを揺らぎ続けるような作品群は、展覧会形式にとどまらず各国の映画祭でも上映されており、国際的にも高い評価を得ています。 荒木は、幼少期と中学から大学卒業までの間をアメリカで過ごし、その後帰国し現在は東京を拠点に活動しています。世界各地を行き来することが多い自身の原体験を元に、本展「三泊五日」という日付変更線を超えたときの移動で起こる現象に着目し、時間、時空、時差の 認識のズレから、展覧会を構成しています。日付変更線はよく見てみると都合よく区切られていることに気づきますが、荒木はそんな人間らしい恣意的な要素に惹かれると言います。 本展ではこれまで諸外国での滞在制作や撮影などで旅をしてきた際の自身の航空券コレクションをリソグラフで拡大プリントし表装。また様々な現地にて撮りためてきた膨大なスナップの中から厳選した写真作品など、これまで映像で表現することの多かった二つの領域の間を行ったりきたりするような「揺らぎ」を物質に置き換えることを試みます。 昨年からのコロナ禍のなか、物理的な移動がままならなくなってしまった昨今ですが、板室の地にいながらも遠い国に想いを馳せ、展覧会を楽しんでいただけたら幸いです。本展覧会期間中、特別に板室温泉大黒屋から徒歩 3 分に併設する◯△□ギャラリーにて、近作の《The Last Ball》(2019)、《密月旅行》(2020)の2作品を上映予定。また宿泊者には、荒木のこれまでの映像作品を厳選しご覧いただけるQR コードが配布されます。ご宿泊中に旧作もお楽しみいただけますのでこの機会にぜひご高覧いただけたら幸いです。
会期 : 2021 年 4 月 29 日(木) – 5 月 31 日(月) 9:00 – 17:00
作家在廊予定日 : 4 月 29 日、5 月 1, 5 日
会期中の休館日 : 5 月 11 – 14 日
* 4 月 29 日、 5 月 15 日のみ12時から開館いたします。
荒木 悠 YU ARAKI