季節の刻

若杉 集 展

1月の大黒屋サロン展示は若杉集の個展を行ないます。

若杉さんは40年近く栃木県益子町で作陶しており、大黒屋では2005年以来の展示となります。

益子の土にこだわり、原土を採掘するところから制作がはじまり、

水簸をして時間をかけて粘土にし、益子の土100%で出来た焼き締め急須を中心に作陶しています。

工学部出身で職人気質の若杉さんらしい、無駄のない美しいフォルムは使うものを魅了します。

是非、この機会に焼き締め急須の魅力を感じて頂ければ幸いです。

今展示では代表的な急須を中心に、湯呑みや酒器などの展示、

そして昨年の土祭で展示されていた、真球類の展示も予定しております。

焼き物を通して益子という場のもつ魅力、風土をも伝えいく若杉さんの仕事を是非お楽しみください。

※1月18日(月) 20時からサロンにてアートを語る会(アーティストトーク)行ないます。
 
展覧会情報はBlogにて更新しております。


「若杉 集 展」に向けて。

焼締急須を作り始めて30年近く経ちますが、急須にまつわる環境が大きく変わりつつあります。

茶漉しが詰まりやすい深蒸し煎茶の全盛に頭を悩ましながら、最近は家庭用の粉茶も出回り始め、

ペットボトルのお茶の普及と相まって急須の肩身がますます狭くなってきた感があります。

しかし、先日東京の渋谷ヒカリエで開催された「日本茶アワード」に招かれてお話する機会を得るなかで、

そんな事情の中でも九州や関西地方を中心に昔ながらの煎茶や、在来種のお茶を従来のぐり茶や釜入り製法で

製茶している産地や生産者が数多く残っていることを知り安堵しています。

焼締急須を制作する者として、香り立つ澄んだ水色の煎茶を作り続けてくださる生産者の方々がいる限り、

諦めず励まなければいけないとあらためて思いました。

今回も急須中心の展示になりますが、ご高覧頂けますようよろしくお願い致します。

若杉 集

 

 

略歴

1948年 埼玉県浦和市に生まれる

1973年 千葉大学工学部工業意匠学科卒業

1977年 益子町北益子に窯を築き独立

1987年 頃から焼締急須を中心に制作

2000年 栃木県立美術館 「栃木県美術の20世紀Ⅱ・千年の扉展」

2001年 イギリスRufford 「日本展」

2004年 益子陶芸メッセミニギャラリー 「益子の作家紹介展」

2004年 東武宇都宮店 「陶芸益子100人展」

2005年 益子陶芸美術館 「第5回益子陶芸展受賞者展」

2009年 第一回「土祭」参加。榎本新吉流泥団子に原土の提供、映像協力

2011年 オランダ デ・ティエンシューア美術館「オランダ益子特別展」

2012年 第二回「土祭」参加。「益子の土を巡る対話」「益子の土を用いたそれぞれの表現」、

    映像「土の人」、その他に参加協力

2013年 渋谷ヒカリエ 「EART ART MASHIKO HIJISAI」に参加

2015年 第三回「土祭」参加

受賞

2000年 第3回益子陶芸展 審査員特別賞

2004年 第5回益子陶芸展 濱田庄司賞受賞

2006年 2006おおたき北海道陶芸展 大賞