季節の刻
第11回大黒屋現代アート公募展
3月の大黒屋サロン展示は、第11回大黒屋現代アート公募展の入選者展を行ないます。
大黒屋現代アート公募展は今年で11年目、本年も日本在住者で 国籍、年齢問わず応募したところ全国から380名のアーティストから応募を頂きました。菅木志雄氏、天野太郎氏、小山登美夫氏、の3名による厳正な審査の 結果大賞1名、入選18名が決まりました。
本年の大賞は對木裕里さん「rolling field」が受賞。
大賞の對木さんには賞金30万円と2017年10月に大黒屋での1ヶ月間による個展を開催していただきます。
大賞
對木 裕里 rolling field
入選
有地 慈 壁紙を視る
石川 かすみ 2と6のための装い
市橋 美佳 日
岡田 健太郎 雪の中、彼女は踊る
小野寺 直彦 The Components
亀永 百恵 not clear
國井 猛 LIFE
里 佳孝 足もとの謎
塩野 太朗 1945-2015
庄司 朝美 14.11.19
垂谷 知明 始のはごろも
谷 正也 Overlap
長沢 優希 paradigm-shopping bag
原口 みなみ 魚
福井 京子 穴
ホリ タイキ 曲線的庭心
水町 文美 未生の海
葛本 康彰 the bottom of the airv
(50音順)
次代を担うアーティストたちの作品をこの機会にどうぞご高覧ください。
公募展入選者に関しての詳細は公募展ページを御覧ください。
展覧会情報はBlogにて更新しております。
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大賞 對木裕里
型取りの作業は、私ともののあいだに「間」を生みます。
型取りされ、別の物質に置き換えられることによって、粘土のかたまりは絶対的な場から、相対的な次元へと転換します。
そこでは私も空間の登場人物となります。ごろごろ転がったり、転がされたりすることで生まれる速度は、色彩に乗って空間へと流れ込みます。
私は対象に興味があるのではなく、転がりながら開いていく次元の変化に興味があります。
物事の関係や立ち位置の変化そのものを包み込むための方法を探しています。
審査員より、大賞作品講評
菅木志雄 アーティスト
「草地のかなたはなく」
タイトルが象徴的な意味を持っている作品である。ある物体がジッととどまっているのではなく、休みなくころがってとどまることがない。そんな状況性を「視覚的なもの」として、かたちにすると、このようなものであるという実作者の表現は単的で、具体的である。
わたしは、その芒洋とした物体感から、外に向かう視線と意識を感知するのである。変化することを内包した形体観というものが、この作品にはある。この動的でない作品から、風の動きのような、とどまることのない法則を感知できるのは、どうゆう場所に、どういうものがあらねばならないか、間断のない問いかけをしているからであろう。
作品を見たとき、人は、空間がどのようにして出現してくるか、そして場の具体化がどのようにしてなされるか、知ることができるだろう。
小山登美夫 小山登美夫ギャラリー 代表
とってもユニークな造形感覚と色彩感覚を持ちながら、形を作り出すということのみに陥ることなく、制作過程における自己と作品との関係やそこに現れてくる空間に視点をむけているところがとても興味深い。
それには客観的な思考だけではなく自己の身体感覚も必要で、今後の作品の進展の可能性が非常に楽しみです。
天野太郎 横浜市民ギャラリーあざみ野 主席学芸員
この作品は、風変わりな形にもかかわらず、突然現れたというより、ずっとそこにあったような親しみを憶えさせます。
作家自身もそのステートメントで述べているように、モノとしての作品を作り出すのではなく、それが置かれることによって生まれたり、あるいは変化する「場」の創出に関心があることが示されています。そして、結果何かが生じるその場に作者の主張は背後に隠れ、この作品が自然にそこにあるかように存在させることに成功しています。