季節の刻

矢野 直人 ・ 浜野 まゆみ 展

板室温泉大黒屋は、2021 10 1 ()から 10 30 ()まで、矢野直人・浜野 まゆみ 展を開催致します。古唐津と初期伊万里。

矢野直人さんは、古唐津を磁器質の焼物と捉え、粘土ではなく砂岩を用いて作陶されて いる唐津でも数少ない陶芸家の一人です。唐津の砂岩を掘り採取して土や釉薬を作るま での全ての工程を自身で行い、薪窯で焼いています。砂岩は採取する地層によって質や粒子に違いがあり、その特性を生かして黒唐津、朝鮮唐津、斑唐津、絵唐津、山瀬、皮鯨、 刷毛目、粉引、李朝など、古唐津の流れにあるものを制作しています。

浜野まゆみさんは、大学では日本画を選考し卒業後、有田の窯業大学校にて陶芸を学びました。「糸切り成型」という江戸初期に始まり、その後まもなく石膏型の技術により途絶えてしまった成形法の研究と再現に取り組みながら制作をしています。糸切り成形は 粘土板を糸で適当な厚さにスライス(糸切り)し、型に当てて成形します。高台は型に 合わせて粘土のひもをつけて板状にし貼り付けて成形するので、複雑な形を作ることが できるのが特徴です。成形に非常に手間のかかる技法ですが、日本画出身の技術を生か した絵付けにより繊細で美しいうつわを制作しています。

お二人とも、古唐津、初期伊万里と古いものに魅了されていますが、ただの写しを制作 することではなく、400 年以上前の陶工たちがどのようなに焼き物と接してきたか、原料、 技術、方法を体現することで現代にも合う作品を作り上げるところにお二人の魅力が詰 まっているように思います。 本展示では、矢野さんは茶碗、花器、酒器、向付に碗などのお皿。浜野さんは糸切り成型で作られた器に、蕎麦猪口、酒器、白土の粘土を塗ってから型紙をはがす「型紙摺り」 という技法による器など展示致します。 季節を感じられるうつわとしてぜひ、手にとってじっくりご覧いただけたら幸いです。 

 

 

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