季節の刻

木城 圭美 展

7月の大黒屋サロン展示は、画家木城 圭美の個展を開催いたします。
木城さんは第1回大黒屋現代アート公募展入賞をきっかけに大黒屋に入社し、3年間社員として働きました。その後2009年に作家として独立し大黒屋では2回目の個展となります。6年間作家として、多くの出会いと経験を経た本展では、その成果として近年、試みてきた木そのものの形や木目の上に描くという手法で生み出された作品も展示いたします。

木城さんは三重県の田園風景の中に生まれ、鈴鹿山脈の限りのない神秘的な姿を見ながら育ちました。その原風景の中から「どこにでも在るが見ることのできないきらきらしたエネルギー」≒宇宙、を見出したといいます。
その解明不可能な宇宙の一片を絵の中に現す作業は彼女自身答えのない証明問題を解く作業であり、終わりの見えない苦行のような過程を経るものといいます。

今回木城さんが掲げる「癒し」とは、その証明問題が絵の中で解明されたときのエネルギーが私たち自身の中に流れている同じものと共鳴し、活性化させるものであるという1つの達成点を示しています。単に物理的な存在としての宇宙ではなく、彼女の目に「きらきらした」と形容される神話的、精神的な複雑さと包容力を秘めた「宇宙」。古来「絵描き」が実現してきた目に見えないものを見、共有するという使命をもって描き続ける世界を、みなさま1人1人に見出していただけましたら幸いです。

※ 7月18日、20時からサロンにてアーティストトーク行ないます。

 


 

鎖のように繋がる永遠の絵のテーマに「安らぎ」と「癒し」を掲げます。
これは表面上のことではなく、遺伝子レベルの「安らぎ」と「癒し」です。
見る人の精神の奥底に語りかけ、目覚めさせ、共鳴するような絵を描くこと…。
自分の内側へ意識を向け、どんどんどんどん入っていくと、そこには風もなく匂いもなく重力もない深い深い湖があります。
水面は張り詰めたように穏やかで、月のような精神の光に照らされています。
この湖の底は、遥かなる大海へと繋がっていて、大海はさらに宇宙へと繋がっています。

「全体は個であり、個は全体である」

私たちは個々の小さな体に目には見えない共有生命である、遥かなる宇宙を内包しているのです。
日々の喧騒の中では、周りも自分さえも見難くなり、湧きおこる感情にふりまわされがちですが、自己の中に内包している遥かなる宇宙にも目を向けることができれば、世界は違って見えてくる。
私がそれらに目を向け、色と形を借りて描き出すことができれば、絵を見る人にとってそれは自身の内包する宇宙をも見つめることになり、また、広大な生命の与える「安らぎ」と「癒し」を思い起こせるきっかけになるのではないかと考えています。

木城 圭美

略歴
1980 三重県生まれ
2003 愛知県立芸術大学油画専攻卒業
2005 同大学 大学院修士課程修了
2006 同大学 美術研修科修了

 

近年の展覧会歴

個展
2014 「木城 圭美 展」 ギャラリーファンタジア(栃木/佐野)
   「木城 圭美 展」Café&diningbar珈茶話(栃木/日光)
2013 「木城 圭美 展」板室温泉大黒屋(栃木/那須)
   「木城 圭美 展」ギャラリーカフェ暠雅(栃木/宇都宮)
2012 「星に宿るほとけさま」bar+gallery殻々工房(栃木/那須)
   「13仏の世界」サテライトギャラリー(愛知/名古屋)
2011 「まもり」ギャラリー403(東京/銀座)
   「再会の季節」ギャラリーカフェ暠雅 (栃木/宇都宮)
2010 「星空のバールへようこそ」bar+gallery殻々工房(栃木/那須)

グループ展
2015  R293美術展 佐野市文化会館(栃木/佐野)
2014 「三人展」 たから園現代工芸(栃木/小山)
    R293美術展 佐野市文化会館(栃木/佐野)
2013  R293美術展 佐野市文化会館(栃木/佐野)
2012  R293美術展 佐野市文化会館(栃木/佐野)
2011 「彫と描」仏師と二人展 霊牛山威徳院極楽寺(栃木/大田原)
   「香れば」 たから園現代工芸(栃木/小山)
2010 「二人展」 板室温泉大黒屋(栃木/那須)

賞歴
2006 「名古屋の美術~今までとこれから~」入選 名古屋市立美術館(愛知)
    第1回大黒屋現代アート公募展 入選 板室温泉大黒屋(栃木/那須)