季節の刻

新里 明士 展 「まとりとる」

板室温泉大黒屋では、2021年6月4日(金)より6月28日(月)まで、新里明士の個展、「まとりとる」を開催いたします。新里は、「光器(こうき)」と呼ぶ代表作品、ろくろで成形した白磁の生地に穴を開け、穴の部分に透明の釉薬をかけて焼成することで光を透過した文様が浮かび上がる「蛍手(ほたるで)」の技法を独自に発展させたものであり、うつわ自体がまるで光を帯びているかのような作品で国内外の注目を集めています。近年では2020年日本陶磁協会賞を受賞しました。
2018年の個展に続き、2回目となる大黒屋での本展「まとりとる」は、〈まる〉と〈とり〉のアナグラムにあっており、野鳥がたくさんやってくるという板室の地の特徴をきっかけに展覧会を構成。野鳥が多くやってくる敷地内の庭にも作品を配置し、野鳥をきっかけに自然界と自身の作品がどのように共鳴するのか実験的な展示も行います。また陶芸のフィールドで作品発表の機会が多い新里は、常々やきものを台座から解放することとは、どのようなことかを考えています。新たな試みとなる作品「まる」のシリーズは、作品を吊るすことによって、台座、または建物から引き離すことで作品の自律性、作品と外の関係性が浮かびあがり作品をひとつのオブジェとしての視点から作品と空間の関係性へと意識を向かわせます。本展覧会は、代表作「光器」の作品と「マル」「Sphere」の作品を組み合わせた新里の制作の2面性が垣間見える展示となります。この機会にぜひご高覧いただけましたら幸いです。

会期 : 2021 年 6 月 4 日 –  6 月 28 日 9:00 – 17:00
作家在廊予定日 : 6月 28 日
会期中の休館日 : 6 月 15, 16, 17 日
* 6 月 15 日のみ12時から開館いたします。

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プロフィール
新里明士は、1977年千葉県生まれ。早稲田大学第一文学部哲学科中退後,2001年多治見市陶磁器意匠研究所終了。主な受賞歴に2005年イタリア ファエンツァ国際陶芸展 新人賞,2008年パラミタ陶芸大賞展 大賞,国際陶磁器展美濃 審査員特別賞,2009年菊池ビエンナーレ 奨励賞,2014年MOA岡田茂吉賞 新人賞。国内の他,アメリカ,イタリア,ルーマニアなど海外でも多くの展覧会に出展し,高い評価を得ています。