季節の刻

手塚 愛子 展 「泉で手を洗う」

板室温泉大黒屋は、2022年4月1日(金)から4月26日(火)まで、手塚 愛子展「泉で手を洗う」を開催いたします。
手塚愛子は学生時代から絵画を探求するなかで織物に着目し、織物の解体と再構築という一貫した独自手法の作品が国際的に高い評価を受けています。2010年からはロンドン、その後ベルリンを拠点に活動し、長年外国で生活をするなかで自身が感じる日本と西欧との相違や、美術・工芸、近代・現代、過去・現在の対比ををコンセプトに据え、歴史上の造形物を引用した作品を手がけており、今年からは東京とベルリンの2拠点で制作をしています。
本展のメインイメージでもある作品【泉で手を洗う-Wash hands in a fountain-】について『この織物は、2015年にオランダの織物博物館の工房で制作した織物です。この時期の私の頭の中には「手を洗う」「汚染されたものを元に戻す」というイメージが繰り返し繰り返し現れました。何故なのかはわかりませんが、福島の原発事故の影響からかもしれません。そして5年後、コロナによって「手を洗う」ことが私たちにとって今までと違う意味を持った時、この織物の部分を切り取って新しい作品として制作し直しました。』と言っています。
本展示会は、美術館やギャラリーとは違う旅館ということもあり、これまで眠らせていたアイディアや、手塚の過去の代表的な作品、レンブラントの《夜警》をモチーフとした《華の闇(夜警)》やDear Oblivion 1(貴婦人と一角獣)などの断片から引用された作品、また手塚自身初めての試みとなる版画作品と、ベルリンの画家、松原勝彦とのコラボレーション作品など、普段見られない手塚の別の一面も垣間見える展示となるでしょう。ベルリンと東京で制作した新作35点。この機会に是非ご高覧いただけたら幸いです。

手塚愛子 Aiko Tezuka
1976年東京生まれ。1999年武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業、
2001年武蔵野美術大学大学院造形研究科油絵コースを修了。
2005年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程 油画領域を修了。
2006年から2009年まで 京都市立芸術大学、京都造形芸術大学、吉備国際大学の非常勤講師を務める。
2010年五島記念文化賞美術新人賞により渡英。
その後、2011年文化庁新進芸術家海外研修制度により2年派遣研修員として渡欧。
2012年ベルリンにてKünstlerhaus Bethanienのアーティストインレジデンスに参加。
現在、東京、ベルリンと2拠点で活動。
近年では、東京都現代美術館、福岡市美術館、国立新美術館、兵庫県立美術館、豊田市美術館、テキスタイル博物館(オランダ)、ヨハン・ヤコブ美術館(スイス)、韓国国立現代美術館、ターナーコンテンポラリー現代美術館(イギリス)、アジア美術館(ドイツ、ベルリン)、美術工芸博物館(ドイツ、ハンブルク)マンハイム市立美術館(ドイツ、マンハイム)など国内外多数の展覧会を開催。

会期:2022年4月1日(金) − 4月26日(火) 9:00 – 17:00
会場:板室温泉大黒屋サロン
・作家在廊日:4月1日
・会期中の休館日:4月12, 13, 14日
・4月1日、15日のみ12:00から開館

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