季節の刻

小森 邦衛 展

板室温泉大黒屋では、2017年9月1日(金)より9月29日(金)まで、3年ぶりとなる漆芸家、小森 邦衛の個展を開催いたします。

小森邦衛は漆芸の盛んな地である石川県輪島生まれ、漆の技法である髹漆の重要無形文化財(人間国宝)に認定されました。髹漆とは素地から下塗り、仕上げに至る漆芸の根幹をなす技法で、木・竹などさまざまな下地に施された技は漆本来の美しさを引き出します。
小森邦衛は竹を薄く削いだものを自らの手で編み、編んだ目が浮き出て文様となる網代の技法により高い評価を受けています。余分な加飾を施さずとも素地の特性や形の美しさを引き出すとともに、刷毛目を一切残さずに何度も塗り重ねられた仕上がりは重要無形文化財保持者としての技術の高さを見ることができます。
本展では「網代三段重箱」や「曲輪造籃胎盤」などの大作や特別企画としてお椀100点を展示いたします。
ぜひご高覧ください。
 
 
プレスリリース
展覧会情報、作品画像等は大黒屋Blogにて更新しております。
 


 
 
うるしって何なのでしょうか、漆の木から採れた樹液、それらを形のあるものに塗ったものと思われます。
9月3日まで千葉県佐倉にある国立歴史民俗博物館での企画展示「URUSHIふしぎ物語 -人と漆の12000年史-」を見ていると12000年前から人と漆が係り伝わって来た様子が良く分かります。
 数年前アメリカ・シカゴで漆のシンポジウムがありヨーロッパ、東南アジア、アメリカから漆の研究者が集まり三日間朝から夕方までのスケジュールが行われました。私はデモンストレーションで漆を塗る事を行ったのですが、その中で研究者の発表はすべて英語、URUSHIと言う発言で通っており、輪島で漆を塗っている私にとって目から鱗が落ちたような瞬間で自分の係っている仕事はこんなにも凄いことだと感じました。
が、仕事場に座ればただただ漆を箆、刷毛で塗り砥石、研炭で研ぎ磨く事です。何て事は無くただただ伝わって来た仕事を自分達の時代で絶つことなく伝えて行きたいと思います。
 今回大黒屋様と相談いたし100個の椀を作りました。木地・欅は山中・佐竹一夫氏。漆は浄法寺・猪狩史幸氏の掻いたものを使い仕事場で制作、上塗は私が行いました。日々の生活の中にお使い下されば幸に存じます。

平成29年長月 小森邦衛