季節の刻

小山 厚子 展 -陶芸-

板室温泉大黒屋では2022年11月2日(水)から11月27日(日)まで、小山厚子展を開催いたします。岡山県、備前焼の中心地である伊部に工房を構え、父、小山末廣氏とともに作陶されています。六古窯の一つでもある歴史ある備前焼は、釉薬を一切使用せず、絵付けもしないという究極にシンプルな焼き物。1200〜1300度の高温で焼き、土の性質や、窯への詰め方、窯の温度の変化、焼成時の灰や炭などによって模様が生み出されます。備前焼は、高温で約2週間焼き締めるため「投げても割れない」と言われるほど堅く、すり鉢や、大きなカメ、壷が多く作られてきました。また、微細な気孔があり通気性に優れているため、切花が長持ちする花器としても知られています。

備前の女流作家としても多くのファンがいる小山さんの作品は、独特の轆轤使いによって歪んで見えるようでバランスの取れた、微笑ましくもあり渋い佇まいは唯一無二の存在感。他の作家には真似できない独自の作風を築き上げられています。

2019年以来3年ぶりとなる大黒屋での個展。本展では備前らしい、緋襷、カセ胡麻、窯変のきいた作品から、備前の土を使って作られる織部、灰釉、また近年制作されている磁器、ガラス釉の作品など200点弱、多様な仕事がご覧いただけます。渋い備前の花器や酒器は魯山人の作風を彷彿とさせるような作品に、カラフルでポップな動物の作品が共存する世界観をぜひご高覧ください。