季節の刻

吉村 昌也 陶展

吉村昌也さんが大黒屋で初めて個展をされたのが17年前の1998年6月でした。
今年4月の個展で4回目となります。
吉村昌也さんの作品は「吉村粉引」と呼ばれる独自の手法、世界観があります。
独特の造形に、粉引のあたたかみ、使うほどに愛着のわく作品ばかりです。
大黒屋では、これまでに酒器をはじめ、大鉢、小鉢、お皿、台皿、花器など数多くの作品を蒐集してまいりました。一品料理を盛る大皿、日本酒を注ぐ片口とぐいのみは、大黒屋にいらっしゃる多くの愛好家の方々に喜ばれております。吉村さんの手から生み出される作品は、それぞれに違った表情があり、ひとつの出逢いです。
4月1日からの個展でお気に入りの器に出逢えれば、私どもも仕合わせに思います。

 

 

 

 


 

 

 

【個展に寄せて】
来る四月一日から、七年ぶりに四回目の大黒屋展を開かせていただくことになりました。
四年前の東日本大震災では、我がなずな工房の窯も煙突もろとも崩壊しました。罹災当初は、その再建の費用等何の見通しもなく途方に暮れました。しかし未だ隠居できるような年でもなく仕事を続けて行くしかないと再建を決意しました。そこでそれまでお付き合いいただいた方々にご援助をお願いし多くの皆様の温かいご協力をいただいて翌年の夏に無事、窯の再建を果たしました。
最近、粉引の仕事以外の新しい試みとして焼成した粉引の作品に更に炭化焼成の工程を加えて、釉薬を用いずに黒い焼き物を作り出す方法を思いつきました。これにより白い粉引を黒一色の作品にしたり白黒まだらな作品を作ることが可能となりました。そしてこれを「粉引墨染め」の技法と名付けました。一昨年秋には渋谷ヒカリエの小山登美夫ギャラリーで白い粉引と黒染めの黒い作品による「素白と玄黒」展として発表し好評を得ました。今回の大黒屋展にはこの技法の作品も出品致します。また白化粧を施さない生地のままを炭化焼成し南蛮風の作品を作ることも始めました。この手のものも出品致します。どうぞご高覧ください。

吉村昌也

略歴
1938年 大阪市に生まれ、鹿児島で育つ
1961年 東京外国語大学フランス語科卒業
1967年 桑沢デザイン研究所第二部修了
1968年 東京「日本陶芸倶楽部」にて陶芸を始める
1974年 茨城県笠間市に倒炎式角窯(松薪使用)を築窯(なずな窯)李朝の粉引を師として作陶を業とする

展覧会歴
2013年8/ ART GALLERY/小山登美夫ギャラリー(東京)
2010年 ギャラリー旬(東京)ギャラリーマスガ(福島)画廊 岳(東京)Gallery YORI(東京)
2009年 TKG エディションズ(東京)
2008年 板室温泉 大黒屋(栃木)
2007年 ギャラリー旬(東京) 明日香画廊(岡山)
2006年 ギャラリー文錦堂(岐阜)
2003年 板室温泉 大黒屋(栃木) 東洋古美術KOKORO(パリ)
2002年 古美術長善(名古屋)
2000年 ギャラリーマスガ(福島)
1999年 鹿児島三越(鹿児島)【東京・画廊シェーネ協賛】
1998年 画廊シェーネ(東京) 板室温泉 大黒屋(栃木)
1996年 なずな窯200回焼成記念式典(横浜・ホテル開洋亭)
1993年 「現代陶芸うつわ考」展(埼玉県立近代美術館)
1992年 古美術薮本(東京)
1988 年 古美術薮本(東京)
1987年 名鉄丸越百貨店(金沢) 松坂屋上野店(東京)
1986年 古美術薮本(東京) 水谷集光堂(京都)
1984年 三越本店(東京・日本橋)
1982年 グリーンギャラリー(東京)にて初個展

パブリックコレクション
クリーブランド美術館
大英博物館