季節の刻

伊藤 文夫 陶展

福島県須賀川市の山中に割竹式登り窯を構え作陶するうつわ作家の伊藤文夫さん。
大黒屋での個展は今回で2回目となります。(前回2011年5月)
伊藤さんの作品は自然釉を生かした焼締が代表的です。土の風合いや炎の痕跡は独特で作品ごとに違った表情があります。粉引や黒釉など様々な手法で作られているので選ぶ楽しみがあります。時に端正にまたは大胆に。それぞれの作品が自然との対話によって形つくられたように感じられます。
今回の個展は花器をはじめ、片口・徳利・小皿・大皿・飯碗・大壺などの作品が並びます。
伊藤さんの対話するうつわを手にとり、それがお気に入りのうつわの一つになれば嬉しく思います。

 

 


 

-祈り-

いにしえの焼物を見ていると、その圧倒的な存在感と包み込まれるような安心感にいつも驚かされる。現代のモノには全く感じない訳ではないが、それは稀である。理由は明瞭だ。祈りが足りないのだ!感謝という言葉に置き換えてもいいけれど、経済成長とか効率優先で良質の原料も喰い尽くし職人的な技術も甚だしく低下している。時間の流れが速すぎてプロセスが抜け落ち五感を働かせる余裕もないのだ。その上、煩い自我が幅を利かせちっとも心に平安が訪れないままに作品が形づくられていく。もっとゆっくりゆっくりあらゆる自然の恵みに手を合わせ呼吸を合わせて、石や草木や虫のごとく自然そのままのような生き方を山の中でゴソゴソと営んでいきたいものである。

伊藤文夫

略歴

1955年  福島県須賀川市(旧長沼町)に生まれる

1974年〜 美濃で修業を始め、その後八丈島・(故)青木正吉、唐津・中里隆に師事

1980年  須賀川市勢至堂に薪窯を築く

展覧会歴

2015年 ギャラリー界隈(いわき)

2014年 ギャラリーマスガ(須賀川)柴田悦子画廊(東京)中合福島店(福島)岩井沢家ギャラリー(岩手)

2013年 ギャラリーむかわ(石川)中合福島店(福島)ギャラリー界隈(いわき)

2012年 柴田悦子画廊(東京)アートサロン環(新潟)

2011年 板室温泉大黒屋(栃木)喜多方市美術館(喜多方)

2011年 福島県立博物館(会津若松)福島県重要文化財『麟閣』(会津)

2008年 ギャラリーHIPPO (東京)三越仙台アートギャラリー(仙台)

2007年 池袋三越美術サロン(東京)

1997年 新宿三越工芸サロン(東京)

1982年 かさね画廊(郡山)初個展

パブリックコレクション
喜多方美術館