季節の刻

タナカヤスオ 展(第9回大黒屋現代アート公募展大賞者)

10月の大黒屋サロン展示は第9回大黒屋現代アート公募展大賞受賞のタナカ ヤスオさんの個展を行ないます。

大黒屋が毎年開催している現代アート公募展では大賞受賞者には、大黒屋での個展の権利が授与されます。

今年の展示は2014年3月に大賞受賞したタナカ ヤスオさん。受賞以来およそ1年半、初の大黒屋個展のために時間をかけて作品を制作してきました。

タナカさんは作品制作においては概念よりも描くという〈行為〉身体性をより重視しているといいます。

それは作品に意味やメッセージ性を持たないところから制作が行われ、より絵画の物質性と自身の触覚感覚(身体性)を大切にしてキャンバスに絵具を乗せていき空間を構成していきます。

近年はこれまで使用してきたアクリル絵具というコントロールしやすい素材から油絵具という伝統的で扱い方が異なる素材に変え、自身の新たな絵画表現の可能性に挑戦しています。絵具という素材を介しながら身体と物質の関連性を探っていくその作品は、感覚的で奔放な色面のようでありながらも深く思慮された作家の意思へと繋がっていく存在感をもっています。

今回大黒屋の展示では、大賞受賞後から制作を始めた油絵具による作品を主におよそ20点の新作を展示いたします。大黒屋という場とタナカさんの作品がどのように共存するかを多くの方々にご高覧頂ければ幸いです。

※10月18日(日) 20時からサロンにてアーティストトーク行ないます。

展覧会情報はBlogにて更新しております。

プレスリリース


作品の呼吸

今回、ギャラリーや美術館にあるニュートラルな空間ではなく、宿という独自の空気を持つ場所で個展を開催させていただくことになりました。

〈場所〉とは何処であれ、それぞれが固有の空気を持っているものと思いますが、作品もまた設置された場所の空気の中、呼吸をしております。空気が合わなければ、息苦しく硬い表情となり、その場所での作品の在り方が不安定なものとなるでしょう。ですが、空気が合えば呼吸は滞ることなく、作品の存在に意義や必然性が生まれてくると考えます。それは場所、作品、そこにいる鑑賞者、これらの関係性が、ある種の安定感を持ち始めることを意味するはずです。

また、ホワイトキューブのように作品鑑賞のみを目的とし、作品の自立性を重視した場所、空間ではない為、これまでの作品の在り方や距離感とは違った、新たな距離や視点等もこの展示を通じて見つかるのではないかと思っております。

秋の空の下、息を荒くすることなく、止めることもなく、静謐な呼吸で、いっとき〈場所〉と共に在ることができたらと思います。

タナカ ヤスオ

 

 
略歴

主な展覧会

2015

「トーキョーワンダーウォール公募2015入選作品展」東京都現代美術館 / 東京

「池袋アートギャザリング」東京芸術劇場 ギャラリー1 / 東京

「ワンダーシード2015入選作品展覧会」 Tokyo Wonder Site Shibuya / 東京

「群馬青年ビエンナーレ2015」群馬県立近代美術館 / 群馬

「第2回横浜アートコンペティション~Lifetime Happiness~」象の鼻テラス / 横浜

2014

「第3回あさごアートコンペティション優秀作品展」あさご芸術の森美術館 / 兵庫

「第9回タグボートアワード入選者展」Theatre CYBIRD / 東京

「第9回大黒屋現代アート公募展」板室温泉大黒屋 / 栃木

2013

「第22回ARTBOX大賞展 受賞記念展」世界堂本店 展示場 / 東京

個展 「意志の形態」TUCCI / 東京

受賞

2015  トーキョーワンダーウォール公募2015 ワンダーウォール賞

2014 第9回大黒屋現代アート公募展 大賞

2012 第22回ARTBOX大賞展 準グランプリ

2011 NEW YEAR VISUAL DESIGN COMPETITION 最優秀デザイン