生形 由香 展 -陶芸-
板室温泉大黒屋では、2025年6月6日(金)より6月30日(月)まで、栃木県益子町を拠点に活動する陶芸家・生形由香の展覧会を開催いたします。当館での展覧会は、2020年以来5年ぶり、2回目の開催となります。
生形由香は、益子の地に自身の窯を構え、日々土と向き合いながら、手作業によってひとつひとつの器を生み出しています。ろくろの上でかたちづくられる器は、やがて彫りの文様が施され、そこに釉薬が流しがけで重ねられることで、彫刻的でありながら柔らかな表情を持つ作品へと昇華していきます。
その工程には、一切の妥協も無駄もなく、ひとつひとつの作業に対する深い集中と誠実なまなざしが込められています。彼女の作品に見られる陰刻や陽刻の技法は、東南アジアの更紗模様や仏教美術に通じる静謐さを内包しています。単なる模倣や装飾ではなく、土という素材と真摯に向き合う中で、自身の美意識を通じて昇華された造形美であり、それはまるで古代の遺物を前にしたときのような、時間の層や祈りの気配を感じさせます。
また、作品には「使うための器」としての機能性だけでなく、「そこに在ること」の美しさが込められています。花器や蓋物といった多様な形の器たちは、いずれも用のための造形にとどまらず、空間に静かに立ち現れる存在としての美しさを備えています。決して華美ではないけれど、そこにあることで空間の空気が少し変わる。控えめながらも確かな強さを持つその佇まいは、暮らしの中に深い余白や静けさをもたらしてくれる存在でもあります。
制作の中で「偶然」と「必然」が交差する瞬間に深く心を動かされると語ります。彫りによって生まれる陰影に釉薬が自然に流れ込み、焼成の過程で生まれる微細なゆらぎによって、器の表情はひとつとして同じものがありません。作家の意図と、素材が導く偶然の美が折り重なりながら、器の中にその都度異なる風景がそっと立ち現れます。
本展では、食卓で日常的に使われる器に加え、より彫刻的な魅力をもつ花器や蓋物、オブジェなど、多様な作品群を展示いたします。
それぞれの作品に宿る、土と釉薬と手の交感が織りなす景色をご堪能いただけましたら幸いです。
菅 木志雄 倉庫美術館
アーティスト菅木志雄の作品のみを常時展示している美術館です。
スタッフが庭の作品などもあわせて毎日案内しています。
- 現代アートと大黒屋
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なぜアートなのか
それは アートの持つエネルギーが我々の持つ美意識に働きかけてくれるからです
日常忘れかけている心の美に気づきそれに触れるとき・・・
我々は本当の自分に出会えるのではないでしょうか
浴衣姿になってアートに触れる・・・ 美術館では味わえない開放感と
一筋の緊張感・・・ そこにこそ 本来の心地よさがあるように思います
板室の自然とアートが調和する空間で心身ともにリフレッシュしていただきたい
それが大黒屋の願いです