浜野 まゆみ・矢野 直人 -陶芸-

板室温泉大黒屋では、2025年10月3日(金)から10月27日(月)まで、浜野まゆみ・矢野直人 展を開催いたします。古唐津と古伊万里―400年前の陶工たちが生み出した伝統に挑み、古陶を糸口に現代を見つめる二人の展覧会です。
浜野まゆみは、大学で日本画を専攻し卒業後、焼き物の里・有田の窯業大学校にて陶芸を学びました。江戸前期に生まれながら石膏型の普及によって途絶えた「糸切り成形」の研究・再現に取り組みつつ制作しており、粘土板を糸で薄くスライスして型に当てるこの成形法によって、複雑な形状の磁器を生み出しています。高台も別途成形した紐状の土を貼り付けて作るため、成形には非常な手間を要しますが、そこに日本画で培った緻密な絵付けの技術を生かすことで、凛とした気品と繊細さを湛えた美しいうつわを完成させています。浜野の作風には江戸前期の古伊万里への憧憬が色濃く漂い、伝統文様や染付の意匠を現代の器に静かに息づかせているのも特徴です。初期伊万里の古格を纏いながらも、同時に新鮮な瑞々しさを感じさせる作品は、見る者の記憶の奥底にある郷愁を呼び覚まし、日々の暮らしに優雅な彩りを添えてくれます。
矢野直人は、古唐津を石器質の焼き物と捉え、あえて粘土ではなく唐津の砂岩を用いて作陶しています。自ら唐津の山中で砂岩を掘り出し、土や釉薬など原料の調合から薪窯での焼成まで、すべての工程を一人で手がける数少ない陶芸家です。砂岩は採取する地層によって粒子や性質が異なり、その特性に応じて黒唐津・朝鮮唐津・斑唐津・絵唐津・山瀬・皮鯨・刷毛目・粉引・白瓷など、多彩な作風を展開しています。桃山時代以来の古唐津の流れを汲みつつも、素材の個性を最大限に引き出した器からは、荒々しさと静けさが同居する存在感が立ち上ります。焼き物の原点ともいえる土と火に真正面から向き合い、伝統を現在に更新する力強い制作姿勢が感じられます。
お二人とも古唐津や古伊万里といった古陶磁に強く魅了されていますが、決して過去の作品をそのまま写すのではありません。400年以上前の陶工たちがどのように素材と向き合い、どのような手法で器を作り上げてきたのか、その原料・技術・方法を自らの手で体現し、現代の暮らしに通じる新たな器を生み出そうとする姿勢に、お二人の特徴がよく表れています。 長い時を経た技法や素材を現代に生かし、過去と現在を融和させるその仕事からは、年月を超えた深みと温もりが伝わってきます。
本展では、浜野は糸切り成形で作られた器や、白土の粘土を塗ってから型紙を剥がす「型紙摺り」という技法による器、またろくろ成形による花器などを展示いたします。矢野は茶碗・花器・酒器・向付・碗皿など、多彩なうつわを出品予定です。伝統に裏打ちされた確かな造形と、季節の趣きを映す器の共演をぜひお楽しみください。爽やかな秋風がそよぐ板室温泉の地で、歴史を感じさせる二人の器の佇まいをご高覧ください。


倉庫美術館-菅 木志雄-

菅 木志雄 倉庫美術館

時間 : 10:00から約1時間(要予約)

料金 : 700円

アーティスト菅木志雄の作品のみを常時展示している美術館です。
スタッフが庭の作品などもあわせて毎日案内しています。

現代アートと大黒屋
なぜアートなのか それは アートの持つエネルギーが我々の持つ美意識に働きかけてくれるからです 日常忘れかけている心の美に気づきそれに触れるとき・・・ 我々は本当の自分に出会えるのではないでしょうか 浴衣姿になってアートに触れる・・・ 美術館では味わえない開放感と 一筋の緊張感・・・ そこにこそ 本来の心地よさがあるように思います 板室の自然とアートが調和する空間で心身ともにリフレッシュしていただきたい それが大黒屋の願いです

なぜアートなのか
それは アートの持つエネルギーが我々の持つ美意識に働きかけてくれるからです
日常忘れかけている心の美に気づきそれに触れるとき・・・
我々は本当の自分に出会えるのではないでしょうか
浴衣姿になってアートに触れる・・・ 美術館では味わえない開放感と
一筋の緊張感・・・ そこにこそ 本来の心地よさがあるように思います
板室の自然とアートが調和する空間で心身ともにリフレッシュしていただきたい
それが大黒屋の願いです